マッチングアプリで知り合った「理想の人」。毎日優しいメッセージが届き、信頼が深まっていく——そして突然、投資の話が始まる。気づいたときには数百万〜数千万円を失っていた。これがSNS型ロマンス詐欺の実態です。2026年7月には静岡県熱海市に住む60代の女性が、マッチングアプリで知り合った人物に約1億1,500万円をだまし取られました。
何が起きているのか
警察庁の統計によると、2025年のSNS型ロマンス詐欺の認知件数は5,645件、被害額は546億円(前年比約145億円増)に達しています。被害者の年齢層は50代が最多で、次いで40代・60代と続き、中高年が集中的に狙われています。
きっかけとなったツールの中で最も多いのがマッチングアプリで、全体の約3割を占めます(デイリー新潮2026年5月)。「孤独を解消したい」「再婚相手を探したい」という真剣な気持ちが、詐欺師に付け込まれています。
手口の解説

①【接触】マッチングアプリで好みのタイプを装って近づく
詐欺師は被害者の属性(年齢・職業・趣味)に合わせたプロフィールを作成します。「医師」「海外駐在のビジネスマン」「成功した起業家」など信頼感の高い設定が多く、写真は外国人の俳優などを無断使用しています。
②【信頼構築】毎日の連絡で恋愛感情・親近感を育てる
数週間〜数か月、毎朝「おはよう」から始まり、「あなたのことが好き」「将来一緒にいたい」という甘い言葉を送り続けます。直接会うことを求めると「仕事が忙しい」「海外にいる」などと理由をつけて会いません。
③【勧誘】「一緒に将来のために」と投資を持ちかける
十分に信頼関係が築かれた後、「私も使っている投資サイトがある」「一緒に資産を作ろう」と誘ってきます。専用の投資アプリや口座を指定され、最初は少額の「利益」を見せて安心させ、徐々に大きな金額を要求します。
④【消滅】大金を送金後、突然連絡が途絶える
「出金に手数料が必要」「税金を払えば全額返ってくる」などと追加送金を繰り返させた後、相手は突然アプリから消えます。投資サイトにアクセスできなくなり、お金は戻りません。
今日からできる対策
✅ マッチングアプリで知り合った人に「会えない理由」が続くなら疑う
何週間もビデオ通話すら避け、直接会うことを拒む相手は要注意です。本物の交際希望者なら必ず会う機会を作ります。
✅ プロフィール写真を画像検索する
スマートフォンで相手の写真を長押しして「画像で検索」すると、外国の俳優・モデルから無断使用した写真かどうか確認できます。Googleの画像検索でも簡単に調べられます。
✅ 投資・お金の話が出たら即座に警戒する
恋愛感情のある相手から「一緒に投資しよう」と言われると断りにくくなります。しかし、マッチングアプリ上での恋人から投資の勧誘があれば、それは詐欺のサインです。
✅ 指定された「投資サイト・アプリ」は絶対に使わない
相手が誘導する投資サイトは偽物です。「利益が出ている」と見えても、それは出金させないための画面上の演出です。
✅ 家族や友人に相談してから動く
「ネットで知り合った人にすすめられた投資がある」と家族に話すだけで、周囲から「それは詐欺では?」と気づいてもらえることがあります。恥ずかしがらず相談しましょう。
もし被害に遭ったら
「まさか自分が」という気持ちで報告をためらう方が多いですが、早期の相談が被害回復の鍵です。
- 💬 消費者ホットライン「188」(いやや):消費生活センターに相談できます。返金交渉の方法もアドバイスしてもらえます。
- 📞 警察相談専用電話「#9110」:被害として相談できます。相手とのやりとり(スクリーンショット)・振込明細を保管してから連絡しましょう。
- 🏦 送金した銀行に即連絡:振込先口座の凍結依頼ができます。早ければ早いほど被害回復の可能性があります。

出会いを求める心は、何も恥ずかしいことではありません。でも、相手が「会わない」「投資の話をする」——そのときは、どうかご自身の心より先に、現実を見てください。大切なお金と心を守るのは、あなた自身です。
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