「お母さん、ぼくだけど……仕事のカバンをなくして現金が足りなくなった。代わりの者がそちらに取りに行くから」——この電話はオレオレ詐欺です。2026年7月14日、警視庁は指定暴力団・住吉会系「幸平一家」傘下組織の幹部の男(52)と傘下組織幹部の男(31)を詐欺の疑いで逮捕しました。(NHKニュース・Yahoo!ニュース 2026年7月)
何が起きたのか
逮捕された2人は2024年、仲間と共謀して東京都杉並区に住む80代の男性宅に電話をかけ、息子を装って「取引の現金が入ったカバンをなくしてしまった」と嘘をつき、現金5,500万円をだまし取った疑いがもたれています。
さらに捜査が進むと、このグループは2024年10月から2025年12月にかけて、70代〜90代の男女あわせて28人から合計約2億円をだまし取っていたことが明らかになりました。(TBS NEWS DIG)
今回の事件で注目されるのは、指定暴力団の幹部が詐欺グループのトップとして組織的に犯罪を指揮していた点です。警視庁は「幸平一家」への捜査を強めており、暴力団と特殊詐欺の深いつながりが改めて浮き彫りになっています。
手口の解説

①【接触】息子・孫・会社の同僚などを装って電話がかかる
「ぼく(わたし)だけど、声変わっちゃった?」「風邪をひいて声がおかしくて……」と切り出し、親が「○○ちゃん?」と名前を言った瞬間にその名前を使って会話を進めます。子・孫・会社の上司など、状況に応じて複数の人物を使い分けます。
②【焦らせる】「今日中に現金が必要」と時間的プレッシャーをかける
「大事な取引のカバンをなくした」「会社のお金を横領したと疑われている」「交通事故を起こして示談金が必要」などと深刻な状況を語り、「今日中に解決しないといけない」「誰にも話さないで」と焦らせ、口止めします。
③【受け取り】見知らぬ人が現金を取りに自宅に来る
「代わりの者を向かわせる」と言って、受け子が「○○の代理で来ました」「弁護士の者です」などと名乗って自宅を訪問し、現金を直接受け取ります。プロが用意した偽の名刺や書類を持ってくることもあります。
④【連絡途絶】お金を渡した後は連絡が取れなくなる
現金を渡した後、「息子」役の人物とは連絡が取れなくなります。本物の息子・孫に確認すると、電話をかけた事実がないことが判明し、初めて詐欺だったと気づきます。
今日からできる対策
✅ 電話口で「○○ちゃん?」と名前を言わない
「声がおかしい、誰?」と聞き返すことが大切です。こちらから名前を言ってしまうと、相手はその名前を使って会話を続けます。相手が言うまで名前は口にしないでください。
✅ 電話を切って、本人に直接かけ直す
「息子だ」「孫だ」と言う電話が来たら、一度切って、自分のスマホや電話帳に登録してある本人の番号にかけ直してください。本物なら必ず出ます。
✅ 「誰にも言わないで」は詐欺の鉄板フレーズ
「家族には内緒で」「近所に聞こえないようにして」と口止めされたら確実に詐欺です。むしろ今すぐ家族・知人・警察に話してください。
✅ 現金を「代理の人」に渡さない
正当な理由で息子・孫が現金を必要としている場合、見知らぬ代理人に手渡しで届けさせることはありません。代理を名乗る人が来たら、玄関を開けず、警察に連絡してください。
✅ 家族で「合言葉」を決めておく
「急に現金が必要と言ってきたら、○○と聞いて確認する」というような合言葉を家族で決めておくと、詐欺電話のときに冷静に対処できます。
もし被害に遭ったら
- 💬 消費者ホットライン「188」(いやや):返金・被害回復の相談ができます。
- 📞 警察相談専用電話「#9110」:詐欺被害として届け出てください。受け子の特徴・来訪日時・受け渡し場所をメモしておきましょう。
- 🏦 振込を行った場合は銀行に即連絡:口座凍結依頼が可能です。現金を直接渡してしまった場合も、すぐに警察へ届け出てください。

子どもや孫が困っているなら助けてあげたい——その優しさが狙われています。「息子からの電話」でも、まず切って本人の番号にかけ直す。たった30秒の確認が、5,500万円を守ります。ご家族に今日話してみてください。
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