面接で不採用になった会社から、後日「いい仕事がある」と誘われたらどうしますか。広島県では、そんな誘いから海外へ連れ去られる事件が起きました。だれにでも起こりうる手口と対策を解説します。
何が起きたか
広島県警は2026年8月17日、飲食店運営会社の代表の女(32)と元役員の女(30)を逮捕しました。容疑は国外移送目的誘拐です。
2人は2026年3月ごろ、広島県内の男性(47)に仕事を持ちかけました。内容は「3日ほどの国内出張でカバンを運ぶ仕事」「報酬30万円」というものでした。男性は以前、この会社の採用面接を受けて不採用になった人物でした。
男性は広島駅から関西国際空港まで送られ、そのまま台湾を経由してタイへ移送されました。男性は現地で日本大使館に自ら逃げ込み、無事に保護されました。
警察は、東南アジアで特殊詐欺の「かけ子」(詐欺の電話をかける役)にする計画だったとみています。薬物の運び屋にする狙いもあったとみられます。
2人は匿名・流動型犯罪グループ「トクリュウ」のリクルーター役だったとみられています。トクリュウとは、決まった組織を持たずSNSなどでその都度メンバーを集める犯罪集団です。警察は、2人に指示していた人物の行方を追っています。
犯行の手口

今回のような手口は、一般的に次のような流れで行われるといわれています。
①接触:過去の求人応募や面接をきっかけに、「割のいい仕事がある」と連絡してくる
②誘導:「短期」「高額報酬」「国内出張」など、安心できそうな言葉で空港まで同行させる
③海外移送:飛行機に乗せて国外へ送り出し、現地で犯罪への関与を強要しようとする
今回の事件は、たまたま海外の大使館に駆け込めたため被害を免れました。しかし一歩間違えば、本人が詐欺の加害者にされていた恐れもあります。
今日からできる対策
- 「過去に応募した会社」からの誘いでも、内容がおかしいと感じたら断る
- 「国内出張」「高額報酬」「即日で稼げる」という言葉には特に警戒する
- 仕事に出かける前は、家族や友人に内容・行き先・連絡先を必ず伝える
- パスポートを預けるよう求められたら、その場で計画をやめる
- 少しでも不安を感じたら、1人で決めずに家族や警察に相談する
もし被害に遭ったら
家族や友人が「怪しいバイトに誘われた」と話したら、すぐに引き止めてください。
すでに現地に着いてしまった場合は、パスポートを手放さず、日本大使館・領事館に連絡してください。
事件性が疑われる場合は110番へ。巻き込まれる不安があるときは、警察相談専用電話「#9110」に相談できます。犯罪がらみのお金の悩みは、消費者ホットライン「188」でも相談できます。

「面接に落ちた会社」からの誘いだったからこそ、油断してしまったのかもしれません。うまい話には裏があります。家族や友人からの「ちょっと変わったバイトの話」を、笑って聞き流さないでください。その一言が、誰かを危険から守ります。
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