「息子が女性を妊娠させてしまい、示談金が必要」――こんな電話がかかってきたら、あなたはどうしますか。三重県内で同じ手口による被害が相次いでいます。
何が起きたか
三重県名張市に住む80代の無職女性のスマートフォンに、8月3日、息子を名乗る人物から電話がありました。「女性を妊娠させてしまい、相手の夫とトラブルになり示談金を要求されている」と言われ、8月4日と7日の2回にわたり、松阪市のJR松阪駅や大阪市のJR玉造駅・森ノ宮駅付近で、弁護士などを名乗る人物に現金合計330万円を手渡してしまいました。女性が詐欺に気づいたのは8月14日、帰省した本物の息子に確認したときでした。三重県警名張署が9月15日に発表しました。
同様の手口は三重県内で複数発生しています。名張市の別の家庭では70代女性とその娘が合計400万円の被害に遭い、京都市山科区のJR山科駅付近で現金を受け取った男(27歳)が9月7日、詐欺容疑で逮捕されました。松阪市の近鉄伊勢中川駅付近では、鳥羽市の70代女性が500万円を渡してしまう被害も起きています。受け渡し場所は三重・大阪・京都と複数の都府県にまたがっており、全国どこでも同じ手口が使われる可能性があります。
手口の解説
①【接触】息子や孫を名乗り、いつもと違う番号から電話をかける
「携帯電話を落とした」「番号が変わった」などと言い、家の固定電話や見慣れない番号から連絡してきます。
②【動揺させる】恥ずかしくて相談しにくい話題を選ぶ
「女性を妊娠させてしまった」など、家族にも他人にも話しにくい内容を切り出し、冷静な判断をさせない状態に持ち込みます。
③【要求】示談金や慰謝料の名目で金銭を求める
「示談金が必要」「今すぐ用意してほしい」と急がせ、一人で抱え込ませます。
④【受け渡し】弁護士や仲介人を名乗る別人物が駅などで現金を受け取る
本人ではない人物が公共の場所で現金(時には菓子折りも一緒に)を受け取る指示が、共通して報告されています。
だまされる方が悪いのではなく、だます側がこうした心理の動かし方を研究し尽くしたプロです。恥ずかしさや焦りから一人で判断してしまうことが、被害につながります。

実際のセリフ・文面
- 「携帯電話を落としたので、別の電話からかけている」
ここが見抜くポイント:番号が変わった理由を電話越しの説明だけで信じてはいけません。必ず以前の番号にかけ直して確認してください。 - 「女の人を妊娠させてしまった。示談金500万円が必要なので助けてほしい。相手ともめているので、代わりに弁護士が行く」
ここが見抜くポイント:本人以外の人物(弁護士・仲介人)に現金を直接手渡す指示は、100%詐欺です。 - 「女の子と仲良くなって妊娠させてしまった。示談金を要求されている」
ここが見抜くポイント:「妊娠」「示談金」といった、恥ずかしくて誰にも相談しにくい話題を選ぶのが手口の特徴です。
(出典:三重県警名張署発表を報じた伊賀タウン情報YOU、Yahoo!ニュース掲載の夕刊三重記事より)
今日からできる対策
✅ 「番号が変わった」と連絡が来たら、以前の番号にかけ直して確認する(今すぐ)
✅ 家族間で、本人しか知らない「合言葉」を決めておく(今夜のうちに)
✅ 「示談金」「弁護士」という言葉が出たら、その場で一度電話を切る(1分でできる)
電話を切って確認する一手間が、被害を防ぐ一番の方法です。
✅ 一人で判断せず、必ず家族か警察に相談してから動く(お金を渡す前に)
✅ 固定電話に自動録音・番号表示機能をつける(今週中に)
「この電話は録音されます」という案内だけで、詐欺の電話は減ることが分かっています。
家族ができること
離れて暮らす家族は、今日中に次のことをしてください。
📞 「変な電話が来たら、お金を渡す前に必ず私に連絡して」と伝える(電話一本)
一人で判断させない仕組みが、最大の防御になります。
🔑 家族だけの合言葉を決めて共有する(所要5分)
👛 数百万円単位の現金を急に持ち出すことに慣れさせない(ATMの利用限度額を下げておくのも有効)
よくある質問
Q. 「示談金が必要」という電話がありましたが、まだお金は渡していません。大丈夫でしょうか?
A. 渡していなければ被害はありません。番号を伝えてしまった場合は、警察相談専用電話「#9110」に相談してください。
Q. 本当に息子がトラブルを起こした可能性もあるのでは?
A. 電話の内容だけで信じず、自分が知っている元の番号や他の家族を通じて本人に直接確認してください。数分の確認で被害を防げます。
もし被害に遭ったら
- 💬 消費者ホットライン「188」(いやや):支払ってしまった料金の相談ができます。
- 📞 警察相談専用電話「#9110」:まだお金を渡していない段階でも相談できます。
- 🚨 現金を渡した後は110番へ:すぐに警察に届け出ることで、捜査や被害の連鎖防止につながります。

「息子が困っている」と聞いて、慌ててしまうのは当然のことです。それだけ家族を思う気持ちが強いのです。ですが、その気持ちを利用するのがだます側の狙いです。電話を一度切って確かめる、その一手間を惜しまないでください。あなたの家族を守る一番の武器は、慌てず「一度切って確認する」ことです。