「息子さんから連絡がありました」——会ったこともない人からそう電話がきたら、あなたは信じてしまいませんか?栃木県宇都宮市の84歳男性は、そう告げられて2400万円を失いました。
何が起きたか
2026年8月28日、栃木県宇都宮市に住む84歳の無職男性の自宅に、1本の電話がかかってきました。
電話の主は、飲食店の支店長を名乗る男でした。「息子さんから、取引の書類が入ったかばんをなくしたと連絡があった」「取引をするのに足りないお金がある」と告げたといいます。
男性はこの話を信じ込み、同日夕方、自宅を訪れた「取引先の関係者」を名乗る男に、現金2400万円を手渡してしまいました。
後日、帰宅した息子に確認したところ、まったく身に覚えがなく、詐欺だったことが分かりました。男性は9月2日に警察へ届け出て、宇都宮中央署が特殊詐欺事件として捜査を進めています。
手口の解説

今回の事件は、次のような流れで進んだとみられます。
①接触 — 息子ではなく、「飲食店の支店長」という第三者を名乗る人物から電話がかかってくる。
②信用させる — 「息子さんから連絡があった」と家族の名前を出し、本人の声を一切聞かせないまま話を進める。「取引に必要なお金が足りない」という具体的な理由をつけ、疑う隙を与えない。
③金銭要求 — 電話とは別人の「取引先関係者」が自宅を訪れ、その場で現金を受け取る。
特に注意したいのは、詐欺グループが一度も本人(息子)の声を聞かせていない点です。「本人の声を聞いてから信じる」という対策だけでは、今回のような手口は防げません。家族の名前が出ただけで、大金を用意してしまう危うさが浮き彫りになりました。
今日からできる対策
- 家族の名前が出る電話でも、一度電話を切り、自分が知っている家族の電話番号にかけ直して本人に確認する
- 「お金が足りない」「今日中に」など急がせる話は、内容にかかわらずいったん立ち止まる
- 自宅を訪れて現金を受け取ろうとする相手には、その場でお金を渡さない
- 一人で判断せず、家族や警察、消費生活センターに相談してから動く
- 固定電話は常に留守番電話に設定し、知らない番号にはすぐ出ない
もし被害に遭ったら
お金を渡してしまった、あるいは怪しい電話を受けたときは、すぐに警察(110番)へ連絡してください。届出が早いほど、口座凍結などの対応も早くなります。
消費者ホットライン「188」でも、同様の相談を受け付けています。
「これって詐欺かもしれない」と迷う段階でも、警察相談専用電話「#9110」に電話してかまいません。家族に話しにくいと感じても、1人で抱え込まないでください。

「息子さんから連絡が」と言われると、つい信じてしまいますよね。でも、本人の声を一度も聞いていないなら、それは立ち止まる合図です。まずは電話を切って、ご自身が知っている番号にかけ直してみてください。それだけで防げる被害がたくさんあります。