「警察です」と電話が来て、画面には本物の警察署の番号――そんな時、これは本物かどうか、すぐに判断できますか。実は番号が本物でも詐欺の場合があります。3秒でできる確かめ方を解説します。
いま何が起きているか
警察庁の発表によると、2025年(令和7年)の1年間で、警察官などをかたって現金をだまし取る「ニセ警察詐欺」の認知件数は10,936件、被害額は985.4億円にのぼりました。これは特殊詐欺全体の認知件数の39.4%、オレオレ詐欺に限れば74.3%を占める規模です。
2024年後半から急増しているのが、着信画面に実在する警察署の電話番号をそのまま表示させる「番号偽装(スプーフィング)」の手口です。ネットで番号を調べても本物の警察署が出てくるため、「本物だ」と信じて振り込んでしまう被害が相次いでいます。警察庁も緊急の注意喚起を出しています。
手口の解説
①【接触】実在する警察署の番号で電話がかかってくる
「警視庁の代表番号」「地元警察署の下4桁が0110の番号」などが着信画面に表示されます。番号偽装の技術で、実際には海外にいる詐欺グループが発信しています。
②【信用させる】所属・階級を名乗り、あなたの名前や個人情報を正確に告げる
「〇〇警察署の刑事です」「あなたの口座が犯罪グループに使われている」などと告げ、事前に入手した氏名や生年月日を口にして信用させます。
③【誘導】SNSのビデオ通話に切り替え、偽の警察手帳や逮捕状を見せる
電話だけでなくLINEなどのビデオ通話に誘導し、偽造した警察手帳・逮捕状の画像を見せて緊張感を高めます。本物の警察官がSNSで連絡することは絶対にありません。
④【金銭要求】「資産保護」「捜査協力」を理由に現金・送金を要求
「口座を確認するため現金を用意して」「暗号資産に移して保管して」などと指示し、現金の手渡し・振込・暗号資産の送金をさせます。

実際のセリフ・文面
警察庁や警視庁が公表している事例では、次のようなセリフが使われています。
- 「あなた名義の口座が不正に開設されており、あなたも資金洗浄事件の容疑者になっている」
ここが見抜くポイント:本物の警察が電話で「あなたが捜査対象だ」と伝えることはありません。この時点で詐欺です。 - 「警察官がSNSで連絡をすることはありません。警察官が警察手帳や逮捕状の画像を送ることは決してありません」
ここが見抜くポイント:これは警察庁自身が注意喚起で明言している言葉です。SNSやビデオ通話に誘導された時点で詐欺と判断してください。
(出典:警察庁SOS47「警察に偽装した電話番号に注意!」に掲載された事例より)
今日からできる対策
✅ 電話を一度切り、自分で調べた番号にかけ直す(今すぐ)
「切らないで」と言われても関係ありません。電話を切り、インターネットや電話帳で自分が調べた警察署の代表番号にかけ直して確認してください。相手が教えてきた番号には絶対に折り返さないでください。
✅ 「所属・階級・氏名・内線番号」を聞き返す(1分でできる)
本物の警察官なら答えられます。曖昧にごまかしたり、質問に苛立ったりする相手は詐欺の可能性が高いです。
✅ 「お金」「口座」「送金」という言葉が出た瞬間に疑う
本物の警察・銀行・行政機関が電話で送金や現金の準備を求めることはありません。この一線を覚えておくだけで大半の被害を防げます。
✅ SNSのビデオ通話に誘導されたら即座に切る
警察官がSNSやビデオ通話で連絡することは絶対にありません。誘導された時点で詐欺と判断してください。
✅ 今夜のうちに、家の固定電話に留守番電話機能を設定する
知らない番号や非通知の着信はまず留守電にまかせ、本当に必要な用件かどうかをメッセージで確認する習慣をつけてください。
家族ができること
離れて暮らす家族は、今日中に次の2つを済ませておいてください。
- 📞 「警察や銀行からお金の話の電話が来たら、まず私に電話して」と伝える(電話一本)。本人が一人で判断しない仕組みを作ることが最大の防御です。
- 📵 スマートフォンの「不明な発信者を消音」設定を一緒に確認する(設定変更・所要5分)。知らない番号からの着信を自動でブロックできます。
よくある質問
Q. 警察から本当に電話が来ることはありますか?
A. あります。ただし、電話で口座情報や送金を求めることは絶対にありません。所属と氏名を確認し、不安なら一度切って自分で調べた番号にかけ直せば安全に確認できます。
Q. 着信番号が本物の警察署の番号と一致していれば安心ですか?
A. いいえ。「電話番号偽装(スプーフィング)」という技術で、実在する警察署の番号がそのまま表示されることがあります。番号が一致していても、内容にお金の話が出れば詐欺を疑ってください。
Q. 折り返しても大丈夫ですか?
A. 相手が名乗った番号にそのまま折り返すのは危険です。必ず自分でネット検索や電話帳から調べた、その警察署の代表番号にかけ直してください。
もし被害に遭ったら
- 💬 消費者ホットライン「188」(いやや):お金を振り込んでしまった、送金してしまった場合の相談ができます。
- 📞 警察相談専用電話「#9110」:詐欺の疑いがある電話を受けた段階でも相談できます。日時・番号・話した内容を記録しておくと役立ちます。
- 🏦 振込先の金融機関にすぐ連絡:振込後は一刻も早く口座凍結を依頼してください。

番号が本物に見えても、電話でお金や口座の話が出たら、それはもう詐欺です。「一度切って、自分で調べた番号にかけ直す」――この一手間さえ覚えておけば、あなたも大切な家族も守れます。だまされる方が悪いのではありません。だます側が、それを商売にしているプロなのです。
あわせて読みたい
- 「本物の警察署の番号」が表示されても詐欺!電話番号偽装(スプーフィング)詐欺の手口と対策
- 「逮捕状が出ている」と電話が来たら要注意!金塊まで騙し取るニセ警察詐欺の最新手口
- 「現金は物置に置いて」871万円被害|ニセ警察詐欺の手口