「副業を始めるには保証金が必要です」。ネット副業に申し込んだ直後にそう言われ、ビットコインの送金を求められたら要注意です。それは副業詐欺の典型的な手口です。
何が起きたか
警視庁は2026年9月18日までに、副業紹介をかたって暗号資産をだまし取ったとして、東京都内の男2人を組織的詐欺の疑いで逮捕したと発表しました。逮捕されたのは、詐欺グループの幹部とみられる職業不詳の男(37)と、指示役とみられる別の男(31)です。
容疑は2025年11月中旬、都内の20代女性に電話をかけ、「副業を始めるために、保証金を暗号資産で送信してもらいたい」とうそを言い、ビットコイン約50万円相当を送金させた疑いです。
警視庁特別捜査課によると、この手口による被害は2024年6月以降、全国で1,000人を超え、被害総額は15億円以上に上るとみられています。実際に電話をかける「かけ子」役とされる男女13人もこれまでに逮捕され、うち12人が起訴されました。
消費者庁も、SNSやネット広告を通じた副業・投資の「もうけ話」への注意を継続的に呼びかけています。副業詐欺は特殊詐欺の手口の一つとしても位置づけられており、手口を知っておくことが被害を防ぐ第一歩です。
副業詐欺の手口

今回の事件では、次のような流れで被害者が金銭をだまし取られていました。
- ①ネット広告や副業サイトで「スマホ一つで手軽」「簡単な作業で利益が出る」といった甘い言葉で応募者を集める
- ②応募してきた人に電話をかけ、「副業を始めるには保証金が必要」などと理由をつけて金銭を要求する
- ③現金ではなく暗号資産(ビットコインなどのインターネット上でやり取りできる財産的価値のこと)での送金を指定し、個人名義の口座やウォレットに送らせる
現金の振り込みではなく暗号資産を指定するのは、いったん送ってしまうと足取りをたどりにくく、取り戻すことがより難しくなるためです。
実際のセリフ・文面
今回の事件で使われたとされる誘い文句や電話でのセリフを紹介します。同じ言葉を見聞きしたら、詐欺を疑ってください。
広告文言:「スマホ一つで手軽に」「簡単な作業で利益が出ます」
ここが見抜くポイント:仕事の具体的な内容や会社名が書かれていない、甘い言葉だけの副業広告は要注意です。
電話でのセリフ:「副業を始めるために、保証金を暗号資産で送信してもらいたい」
ここが見抜くポイント:正規の求人や仕事で、始める前に「お金を先に払え」と言われることは絶対にありません。しかも現金でなく暗号資産を指定するのは、後から足がつきにくくするためです。
今日からできる対策
- 「保証金」「先に費用がかかる」と言われた時点で、今すぐ電話を切ってください
- 副業や仕事の話で暗号資産(ビットコインなど)の送金を求められたら、絶対に応じないでください
- 会社名や担当者名を検索して、実在する会社か・所在地が確認できるかを1分で調べてください
- 個人名義の口座やウォレットへの振込・送金を求められたら、その時点で詐欺と判断してください
- 少しでも不安に思ったら、送金する前に今夜のうちに家族か警察に相談してください
家族ができること
この手口は主に働き盛りの世代が狙われますが、離れて暮らす家族が今日できることもあります。
- 子や孫がネットで副業を探していないか、今日一本電話で聞いてみてください
- 「保証金」「暗号資産で送金」という言葉が出たら詐欺だと、家族内であらかじめ共有しておいてください
よくある質問
Q. すでに暗号資産を送ってしまいました。取り戻せますか?
A. 暗号資産は現金以上に取り戻すのが難しいとされています。それでも1人で抱え込まず、今すぐ警察と消費者ホットライン「188」に相談してください。
Q. 副業サイトに登録しただけで、まだお金は払っていません。大丈夫ですか?
A. 登録しただけでは被害になりません。ただし今後「保証金」などの名目で連絡が来ても、応じずに電話を切ってください。
もし被害に遭ったら
お金の支払いや返金について相談したいときは、消費者ホットライン「188(いやや!)」に電話してください。最寄りの消費生活センターにつながります。
だまし取られた、脅されているなど事件性がある場合は、警察相談専用電話「#9110」、緊急なら110番に相談してください。

「保証金を払えば稼げる」という話に、心が動くのは自然なことです。だまされる方が悪いのではなく、だます側がプロなのですから。おかしいと思ったら、遠慮なく電話を切ってください。それだけで、あなたのお金は守られます。