「現金は車に置いて」も詐欺|全国で相次ぐニセ警察電話

「資金洗浄の疑いがある」と電話が来て、車や庭に現金を置くよう指示される詐欺が全国で相次いでいます。警察官・検察官が現金を外に置かせることは絶対になく、言われた時点で詐欺です。

  • 長崎・大分・北海道で「車や庭に現金を置かせる」ニセ警察詐欺が相次いで発覚・摘発されている
  • 犯人は「資金洗浄」「口座が暴力団に渡っている」などの名目で現金を外に置かせ、こっそり回収する
  • 警察官・検察官が現金や貴金属を外に置くよう指示することは絶対にない

いま何が起きているか

結論:2026年10月、警察官や検察官を名乗る詐欺で、現金を自宅の車や庭に置かせて回収する手口の被害が、長崎・大分・北海道など全国各地で相次いで発覚・摘発されています。

長崎県長与町では、80代の男性が9月上旬と10月中旬の2回にわたり、敷地内に止めた無施錠の自家用車に合計1200万円の現金を置かされ、だまし取られました。長崎県警時津署が10月20日に発表しています(長崎新聞)。

大分県内では、90代の男性が8月中旬に「口座情報が暴力団に渡っている」と電話を受け、9月中旬には「潔白を証明するため」と自宅の縁側に紙袋に入れた現金およそ1020万円を置かされました。複数回の不自然な現金引き出しに気づいた金融機関からの通報で、10月5日に被害が判明しました(大分合同新聞)。

北海道内でも、警察官を名乗る男から「現金を調査するため、毎日銀行でお金をおろす必要がある」「払わなければ逮捕される」と言われた70代女性が、自宅の敷地内に現金1050万円を置かされる被害に遭い、この詐欺容疑で台湾籍の男(26)が10月19日に逮捕されました。本人にとっては3度目の特殊詐欺容疑での逮捕です(STVニュース北海道)。

警察庁も、警察官をかたり金地金を詐取する手口について「自宅玄関や公園などの屋外に置いておくよう指示される」パターンを公式に注意喚起しており、現金・貴金属を問わず「外に置かせて回収する」手口が全国に広がっていることがうかがえます(警察庁)。

手口の解説

結論:この詐欺は「電話で不安をあおる→銀行で現金を引き出させる→屋外に置かせて回収する」という3段階で進みます。

①接触:警察官・検察官・金融機関職員などを名乗り、「あなたの口座が犯罪に使われている」「資金洗浄の疑いがある」などと電話をかけてきます。

②引き出し:「捜査のため」「潔白を証明するため」と言って、銀行で現金を複数回にわたり引き出させます。1回では怪しまれるため、数日から数週間かけて小分けに引き出させるケースが目立ちます。

③受け渡し:最後に「車に」「庭に」「縁側に」と場所を指定し、本人とは直接会わずに現金を置いて離れるよう指示します。その後、別の人物がこっそり回収していく「置き去り型」の受け渡しです(長崎新聞、大分合同新聞、STVニュース北海道)。

警察官電話で現金を車や庭に置かせるニセ警察詐欺の手口の図解

実際のセリフ・文面

長崎・大分・北海道の各地で報告されている実際の言い回しです(出典:長崎新聞、大分合同新聞、STVニュース北海道)。

「あなた名義の口座の情報を、銀行員が暴力団に渡していることがわかった」
ここが見抜くポイント:口座情報が漏れていることを、電話の相手が一方的に告げてくること自体が不自然です。本物の警察・銀行は、電話でこうした情報を一方的に伝えません。

「資金洗浄をする必要がある。捜査が終了すればお金は戻す」
ここが見抜くポイント:「お金は後で返す」という説明が出た時点で詐欺です。警察が捜査目的で現金を預かったり、立て替えさせたりすることは絶対にありません。

「現金を調査するので、毎日、銀行でお金をおろす必要がある。払わなければ逮捕される」
ここが見抜くポイント:「逮捕される」と脅して現金を用意させるのは典型的な脅迫です。警察が逮捕を回避する条件として現金を要求することはありません。

「潔白を証明するため、お金を調べる必要がある」
ここが見抜くポイント:身の潔白の証明に現金の受け渡しは不要です。潔白は裁判や正式な取り調べの手続きで証明されるものです。

今日からできる対策

  • 今すぐ:警察官・検察官・銀行員を名乗る電話で「現金を置いて」と言われたら、理由を聞かずその場で電話を切る
  • 今すぐ:「捜査のため」「資金洗浄の疑いがある」と言われても、現金を自分で用意したり外に置いたりしない
  • 1分でできる:着信があった番号にかけ直さず、自分で調べた警察署の代表番号や家族に先に電話する(本物かどうかの確かめ方は警察から電話が来たら|本物かどうか3秒で確かめる方法で解説)
  • 今夜のうちに:自宅の車や庭、物置に現金や貴重品を長時間置かない習慣をつける
  • 今日中に:固定電話に番号表示・録音機能付きの電話機や、迷惑電話対策サービスを導入する

だまされる方が悪いのではありません。本物の警察官・検察官のように信じ込ませる話し方を練習しているのが、詐欺を働く側です。

家族ができること

  • 離れて暮らす親に「警察や検察から電話で現金の話が出たら、何も答えずにまず自分(家族)に電話して」と伝えておく
  • 「現金を車や庭に置いて」と言われたら、それだけで詐欺だと具体的な言葉で一緒に確認しておく
  • 実家の固定電話に、迷惑電話対策機能や着信拒否設定を帰省のタイミングで一緒に設定する

よくある質問

Q. 警察官や検察官を名乗る人から電話がかかってきました。本物かどうかどう確かめればいいですか?
A. その場では答えず一度電話を切り、電話帳や公式サイトで調べた警察署・検察庁の代表番号に自分でかけ直して確認してください。

Q. すでに現金を車や庭に置いてしまいました。取り戻せますか?
A. 置いた現金が回収された後に取り戻すのは非常に困難です。それでも諦めず、すぐに最寄りの警察署か警察相談専用電話#9110に連絡し、被害を届け出てください。

Q. なぜ犯人は現金を手渡しせず、車や庭に置かせるのですか?
A. 受け渡しの現場で顔を合わせないことで、逮捕されるリスクを減らすためです。防犯カメラが少ない時間帯や場所を選んで回収する手口が報告されています。

もし被害に遭ったら

結論:現金を外に置いてしまった、または置くよう言われて迷っている場合は、すぐに警察相談専用電話「#9110」に連絡してください。お金のことで不安なときは消費者ホットライン「188」も使えます。

窓口 連絡先 こんな時に
警察相談専用電話 #9110 犯罪が疑われる、被害届を出したい
消費者ホットライン 188 詐欺かどうか相談したい、お金のトラブル全般
最寄りの警察署・110番 110(緊急時) 現金を置いた直後で、今すぐ対応してほしい
安国院道和
安国院道和

「車や庭に現金を置いてくるように」と言われたら、それはもう詐欺の最終段階です。恥ずかしがらず、その場で一本、家族か警察に電話をかけてください。その勇気が、あなたのお金を守ります。

あわせて読みたい

出典:
長崎新聞「80代男性が1200万円被害…警察名乗る男らが電話、無施錠の自家用車に置くよう指示」(2026年10月21日)
大分合同新聞「ニセ警察詐欺、大分県内の90代男性が1020万円被害 自宅縁側に現金、持ち去られる」(2026年10月8日)
STVニュース北海道「現金1050万円をだまし取る 台湾籍の男逮捕 3回目の逮捕」(2026年10月19日)
警察庁「警察官等をかたり「金地金」を詐取する特殊詐欺について」

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