「介護保険の給付金を受け取るには、キャッシュカードの確認が必要です」――そんな電話が来たら、あなたはどうしますか。結論を先に言うと、役所がキャッシュカードや暗証番号を電話で聞くことは絶対にありません。この手口で4都県の高齢者から計22億円がだまし取られていたことが分かりました。
- 自治体職員を名乗り「介護保険の給付金」を名目にキャッシュカードを騙し取る新手の詐欺が発覚
- 東京・埼玉・千葉・神奈川の4都県で被害総額は約22億円、被害の一部は指定暴力団に流れていたとみられる
- 本物の役所は電話で暗証番号やキャッシュカードそのものを求めない。今日からできる対策を解説
何が起きたか
自治体職員になりすまして高齢者からキャッシュカードを騙し取る詐欺グループのリーダーとみられる男が、警視庁に逮捕されました。被害は2023年2月から2025年11月までの間に東京・埼玉・千葉・神奈川の4都県に及び、総額は約22億円に上るとみられています(警視庁発表、2026年11月2日)。
逮捕されたのは東京都中央区の職業不詳の男(34)で、「東」と名乗って特殊詐欺グループを率いていたとみられています。グループのメンバーとみられる男(40)も、組織犯罪処罰法違反の疑いで逮捕されました。
立件された事例では、去年3月、東京都小平市の職員になりすまして90代の女性宅に電話をかけ、「介護保険の給付金を受け取るにはキャッシュカードの機能を確認する必要がある」とうその説明をしてキャッシュカードと通帳を騙し取り、ATMから現金約360万円を引き出して盗んだ疑いです。ほかにも町田市・足立区・北区の職員を名乗り、80代の女性3人から計約200万円を同様の手口で騙し取ったとみられています。捜査の過程では、被害金の一部が特定危険指定暴力団「工藤会」に流れていた可能性も判明しました。
手口の解説
この詐欺は「自治体職員を名乗る→給付金を理由に信用させる→キャッシュカードを騙し取る→現金を引き出す」という4段階で進みます。どの段階でも、本物の役所なら絶対にしない行動が含まれています。
①接触
市役所・区役所・介護保険課の職員などを名乗り、固定電話に電話をかけてきます。「給付金」「物価高対策」など、お金が受け取れるという話で警戒心を下げます。
②信用させる
「給付金を受け取るには、キャッシュカードの機能を確認する必要がある」などと説明し、暗証番号や個人情報を聞き出します。役所の手続きを装うことで、違和感を感じさせないようにします。
③金銭要求
キャッシュカードと通帳を用意させ、だまし取ります。
④実行
だまし取ったキャッシュカードと暗証番号を使い、ATMで現金を引き出します。気づいた時には口座から現金が抜き取られています。

実際のセリフ・文面
報道によると、犯人グループは次のような言葉を使っていました。実際にこの言い回しで検索して、この記事を見つけた方もいると思います。
「介護保険の給付金を受け取るには、キャッシュカードの機能を確認する必要があります」
ここが見抜くポイント:「機能確認」を理由にキャッシュカードや暗証番号を聞く手続きは、介護保険にも金融機関にも存在しません。
「物価高対策として給付金をお配りしています」
ここが見抜くポイント:自治体が給付金を配る際、電話一本でキャッシュカード情報を確認することはありません。給付金の案内は郵送や窓口が基本です。
今日からできる対策
| 本物の役所・金融機関 | 詐欺の電話 | |
|---|---|---|
| 連絡方法 | 郵送・窓口での案内が基本 | いきなり電話をかけてくる |
| 暗証番号 | 電話で聞くことは絶対にない | 「確認のため」と聞き出そうとする |
| キャッシュカード | 預かることは絶対にない | 封筒に入れさせて回収しようとする |
✅ 「給付金の確認」でキャッシュカードや暗証番号を聞かれたら即座に切る(今すぐ)
それ以上話すと、相手のペースに引き込まれます。
✅ 電話を切ったら、自分で調べた役所の代表番号にかけ直す(5分でできる)
電話がかかってきた番号にはかけ直さないでください。
✅ キャッシュカードは誰にも渡さない・封筒にも入れない(今日から徹底)
役所・警察・金融機関の職員が、自宅でキャッシュカードを預かることは絶対にありません。
✅ 固定電話に常時留守番電話・ナンバーディスプレイを設定する(今夜のうちに)
知らない番号からの電話にすぐ出ない仕組みが、最も確実な防御になります。
だまされる方が悪いのではありません。役所の手続きを巧妙に装い、高齢者の善意や不安につけ込む話し方を研究し尽くした、だます側がプロなのです。
家族ができること
離れて暮らす家族は、今日中に次の2つを済ませておいてください。
- 📞 「介護保険や給付金の件で電話が来たら、まず私に相談して」と伝える(電話一本)。本人だけで判断させない仕組みが最大の防御になります。
- 🔒 実家の固定電話に迷惑電話対策機器や着信拒否サービスを設定する(所要15分)。知らない番号からの着信を自動でブロックできれば、そもそも会話が始まりません。
よくある質問
Q. 介護保険の給付金で、本当にキャッシュカードの確認が必要になることはありますか?
A. ありません。介護保険の給付金やキャッシュカードの「機能確認」を理由に、電話で暗証番号やキャッシュカードそのものを求めることは、役所も金融機関も絶対にしません。
Q. 自治体の職員を名乗る電話に出てしまった場合、どうすればいいですか?
A. その場でキャッシュカードや暗証番号、個人情報を一切伝えず、一度電話を切ってください。その後、電話にかかってきた番号ではなく、自分で調べたお住まいの市区町村の代表番号にかけ直して確認してください。
もし被害に遭ったら
- 💬 消費者ホットライン「188」:契約・支払い・返金に関する相談ができます。
- 📞 警察相談専用電話「#9110」:詐欺の疑いがある電話を受けた段階でも相談できます。
- 🚨 110番:すでにキャッシュカードを渡してしまった、現金が引き出されたなど緊急性が高い場合はこちらへ。
- 🏦 該当の金融機関:キャッシュカードを渡してしまったら、一刻も早く連絡して口座の利用停止を依頼してください。

「給付金」という言葉は、本来うれしいお知らせのはずです。それを逆手に取って高齢者の善意を狙う者がいることを、どうかご家族にも伝えてください。キャッシュカードは誰にも渡さない――それだけで、あなたの大切なお金を守れます。