還付金の電話でATM操作の指示は詐欺|見分け方と断り方

市役所や税務署を名乗り「還付金があります」と電話がかかってきたら要注意です。ATMでの手続きを求められた時点で、それは詐欺だと考えてください。

いま何が起きているか

警察庁が2026年6月に公表した確定値によると、2025年の特殊詐欺全体の被害額は約1,423億円で、前年より98.0%も増えました。手口は年々巧妙になっており、誰にでも起こりうる身近な脅威になっています。

その中でも「還付金詐欺」は、市役所・税務署・年金事務所などの職員を名乗って電話をかけ、医療費や保険料の過払い金を装う手口です。全国銀行協会によると、2023年の還付金詐欺だけで4,184件、被害額は51億2,810万円にのぼりました。

葛飾区や相模原市、千葉市など全国の自治体が「還付金詐欺の電話が多発している」と繰り返し注意を呼びかけており、地域を問わず誰にでも起こりうる手口です。

手口の解説

①【接触】市役所・税務署・年金事務所を名乗って電話をかける
「医療費の過払い金があります」「年金の未払い分を返します」などと切り出し、あなたが受け取れるお金があると思い込ませます。

②【焦らせる】「今日中でないと手続きできない」と期限を強調する
「本来の窓口では手続きの期限が切れています。ですが今日中なら提携する銀行のATMで手続きができます」など、考える時間を与えないよう畳みかけてきます。

③【誘導】ATMに行くよう指示し、携帯電話を持ったまま操作させる
「携帯電話を持ってATMまで行ってください」と指示し、電話を切らせずに、まるで係員が誘導しているかのような安心感を演出します。

④【金銭奪取】「還付」のつもりが実は「振込」操作で犯人の口座に送金させられる
電話越しにATMの操作を指示され、「受け取り」のつもりで押したボタンは、実は「振込」です。気づいたときには、犯人の口座にお金が振り込まれています。実際に2026年7月には、神奈川県警が還付金詐欺の「出し子」役の男を逮捕しています。相模原市の60代男性が約50万円をだまし取られたケースでした(詳しくは「医療費が戻ります。ATMで手続きを」は詐欺!出し子の男逮捕・還付金詐欺の手口と対策で解説しています)。

還付金を装う電話からATM操作で送金させられるまでの詐欺の手口を解説するイラスト

「今日中に」「ATMで」と言われて焦ってしまうのは当然のことです。だまされる方が悪いのではなく、あなたを焦らせる話し方を研究し尽くした、だます側がプロなのです。

実際のセリフ・文面

警察庁と全国銀行協会が公表している事例では、次のようなセリフが使われています。

  • 「医療費の還付金を振り込みます。銀行・コンビニ・スーパーのATMに行って、今から言う番号に電話してください」
    ここが見抜くポイント:市役所や税務署が還付のためにATM操作を求めることは絶対にありません。この時点で詐欺と判断してください。
  • 「期限が切れてしまっているので、役所の窓口では手続きできません。しかし今日中でしたら提携する銀行のATMで手続きが可能です」
    ここが見抜くポイント:「今日中」「今すぐ」と期限を強調して急がせる電話は、詐欺の典型的な話し方です。
  • 「携帯電話とキャッシュカードを持って、ATMコーナーで今すぐ手続きをしないと無効になります」
    ここが見抜くポイント:ATMには還付金を受け取る機能そのものがありません。ATM操作を求められた時点で詐欺です。

(出典:警察庁「還付金詐欺」特殊詐欺の手口等紹介、全国銀行協会「還付金詐欺」)

今日からできる対策

還付金の電話が来たら、一度切って自分で調べた代表番号にかけ直す(今すぐ)
電話帳やホームページで確認した市役所・税務署の代表番号にかけ直せば、本物か偽物かがすぐに分かります。

「ATMで手続きが必要」と言われたら、その場で詐欺と判断して電話を切る(今すぐ)
市役所も税務署も年金事務所も、還付のためにATM操作を求めることは絶対にありません。理由を聞く必要もなく切ってください。

固定電話に非通知・国際電話番号の着信拒否設定をつける(今夜のうちに、所要5分)
電話機の説明書や、契約している電話会社のサービスで設定できます。分からない時は家電量販店でも相談できます。

ATMの1日あたりの利用限度額を10万円程度まで下げておく(今週中に、窓口かアプリで5分)
限度額を下げておけば、万が一操作してしまっても被害額を抑えられます。

知らない番号にはすぐ出ず、留守番電話に設定しておく(今日から)
本当に用件がある相手なら、メッセージを残してくれます。折り返す前に、本物かどうか確認してください。

家族ができること

離れて暮らす家族は、今日中に次の3つを済ませておいてください。

  • 📞 「還付金の電話は必ず切って、まず私に相談して」と伝える(電話一本、5分)。一人で判断させない仕組みが最大の防御になります。
  • 🏧 親と一緒に銀行窓口へ行き、ATMの利用限度額を下げる手続きをする(所要15分)。限度額を下げるだけで、被害を最小限にできます。
  • 📱 親のスマホや固定電話に迷惑電話ブロックの設定をしてあげる(所要10分)。着信拒否や留守電設定の詳しい手順は、警察から電話が来たら|本物かどうか3秒で確かめる方法でも紹介しています。

よくある質問

Q. 市役所から本当に還付金の連絡が来ることはありますか?
A. あります。ただし、その場合も文書での通知が原則です。電話でいきなりATM操作を求めることは絶対にありません。

Q. 医療費の還付金だけが詐欺で、他の還付は大丈夫ですか?
A. いいえ。年金・保険料・税金の還付を装うケースも報告されています。「還付」「電話」「ATM」の組み合わせが出たら、内容を問わずすべて疑ってください。

Q. 電話に出てしまいましたが、まだATMには行っていません。大丈夫ですか?
A. 大丈夫です。ATMを操作していなければ被害は発生していません。念のため#9110に相談し、記録を残しておくと安心です。

もし被害に遭ったら

  • 💬 消費者ホットライン「188」(いやや):還付金名目で送金してしまった場合の相談ができます。
  • 📞 警察相談専用電話「#9110」:電話を受けただけ、ATMまで行ってしまっただけの段階でも相談できます。
  • 🏦 振込先の金融機関にすぐ連絡:「振り込め詐欺救済法」に基づく口座凍結を依頼できます。1分でも早い連絡が、お金を取り戻せる可能性を高めます。
  • 🚨 すでに送金してしまった場合は110番:警察に直接通報してください。
安国院道和
安国院道和

「還付金がある」と聞けば、誰でも心が動きます。それが人情というものです。でも、お金を受け取るのにATMへ走ることなど絶対にありません。おかしいと思ったら、いったん電話を切って、確かめてから動いてください。それだけで、あなたの大切なお金は守れます。

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出典

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