「契約してすぐ後悔した」――そんな時に使えるのがクーリングオフです。やり方や期間を知らずに、諦めていませんか。
いま何が起きているか
国民生活センターが2025年9月に公表した集計によると、2024年度に寄せられた65歳以上からの消費生活相談は33万497件で、前年度より8.5%増えました。
相談内容の上位には「点検商法」や「訪問販売」も入っており、全国での点検商法に関する相談は年間およそ2万件にのぼります。85歳以上では在宅時間が長いことなどから、訪問による勧誘を受けやすいとされ、点検商法「激アツ」で認知症高齢者を狙う手口のように、契約後に「やっぱりやめたい」と感じるケースが後を絶ちません。
こうした時、契約から一定期間内なら理由を問わず無条件で解約できるのがクーリングオフ制度です。地域を問わず、誰の身にも起こりうる話です。
クーリングオフの対象になる取引・ならない取引
クーリングオフは、契約の種類によって使える期間が法律(特定商取引法など)で決まっています。
【8日間】
訪問販売(自宅への訪問・キャッチセールスなど)、電話勧誘販売(電話で勧誘されて契約した場合)、特定継続的役務提供(エステ・語学教室・学習塾・家庭教師・パソコン教室・結婚相手紹介サービスなど)、訪問購入(自宅に来て貴金属などを買い取る「押し買い」)
【20日間】
連鎖販売取引(マルチ商法)、業務提供誘引販売取引(内職・モニター商法など)
【対象外】
通信販売(ネット通販・カタログ通販)には、法律上のクーリングオフ制度そのものがありません。返品できるかどうかは、販売サイトに表示された「返品特約」次第です。表示がなければ、商品到着後8日以内なら送料は自己負担で返品できます。
期間の数え方も大切です。契約日ではなく、法律で決められた内容が書かれた契約書面を受け取った日を1日目として数えます。書面を受け取るのが契約の翌日以降になった場合は、その分だけ期限も後ろにずれます。

実際の通知文面の書き方
クーリングオフは、必ず「書面」または「電磁的記録(メール・事業者の専用フォームなど)」で通知します。電話や口頭だけで「キャンセルします」と伝えるのは避けてください。証拠が残らず、あとで「言った言わない」のトラブルになりやすいためです。
はがきで通知する場合の記載例です(国民生活センターの案内をもとに作成)。
契約解除通知
契約年月日:○年○月○日
商品(サービス)名:○○
契約金額:○○円
販売会社名:株式会社○○
担当者名:○○様
上記契約を解除します。
お支払いした代金○○円を返金し、商品を引き取ってください。
○年○月○日
住所:○○
氏名:○○
ここが見抜くポイント:はがきは送る前に両面をコピーしておき、「特定記録郵便」または「簡易書留」など記録の残る方法で送ります。普通郵便だけだと、届いた証拠が残りません。
2022年6月からは、書面のほかに電子メールやFAX、事業者が用意するクーリングオフ専用フォームでも通知できるようになりました。メールで送った場合は送信メールを保存し、専用フォームの場合は入力画面のスクリーンショットを残しておくと安心です。
今日からできる対策
✅ 契約書面を受け取った日を確認する(今すぐ)
カレンダーや契約書にマーカーでその日の日付を書き込んでおくと、期間の数え間違いを防げます。
✅ 期間内は必ず書面かメールで通知する。電話だけで済ませない(今日中)
口頭でのキャンセルは「言った言わない」のトラブルのもとです。
✅ はがきは送る前に両面をコピーしておく(投函前の5分)
特定記録郵便か簡易書留で送れば、相手に届いた記録が残ります。
✅ 期間が過ぎていても諦めず、消費生活センターへ相談する(今週中)
書面の記載に不備があったり、うその説明があったりした場合は、期間が過ぎていても交渉できることがあります。
✅ クーリングオフの手続き中は代金を支払わない。支払い済みなら全額の返金を求める
業者は違約金や工事費、キャンセル料を請求できません。
家族ができること
離れて暮らす家族は、今日中に次の3つを済ませておいてください。
📞 「契約書が届いたら、まず見せてね」と伝えておく(電話一本、5分)
契約直後に家族が把握できれば、期限内の対応が間に合います。
🏠 帰省・訪問のたびに、新しい契約書や工事の見積書がないか確認する(所要10分)
📱 消費者ホットライン「188」を、親のスマホや電話帳に登録しておく(5分)
よくある質問
Q. クーリングオフの期間を過ぎたら、もう解約できませんか?
A. 原則はできません。ただし、業者が法律で決められた内容の契約書面を渡していない、説明の中でうそを言った、などの不備があれば、期間が過ぎていても消費生活センターに相談すると交渉できる場合があります。あきらめず、まず相談してください。
Q. 電話だけでクーリングオフはできますか?
A. できません。電話勧誘販売であっても、解除の通知は書面か電磁的記録(メールなど)で行う必要があります。電話口で「キャンセルします」と伝えただけでは、証拠が残らず認められないことがあります。
Q. 通販(ネット通販)で買った商品もクーリングオフできますか?
A. 法律上のクーリングオフ制度の対象外です。返品できるかどうかは、購入したサイトに表示された「返品特約」を確認してください。表示がない場合は、商品到着後8日以内なら送料自己負担で返品できます。
もし被害に遭ったら
- 💬 消費者ホットライン「188」(いやや):契約トラブルの相談ができます。
- 📞 警察相談専用電話「#9110」:強引な勧誘や不審な訪問業者について相談できます。
- ⚠️ 期間が過ぎていても、まず相談を:あきらめず188番に電話してください。相談先の一覧は詐欺かもと思ったら|188・#9110の相談先まとめでも紹介しています。

「今さら言えない」と一人で抱え込まないでください。だまされる方が悪いのではなく、巧みに契約させる側がプロなのです。迷ったら、まず紙に書く。それだけで道は開けます。