「最近、固定電話に知らない番号からの着信が増えた」と感じていませんか。固定電話の詐欺対策は、実は今日から無料や数千円で始められます。
いま何が起きているか
警察庁が2026年5月に公表した令和8年3月末時点の暫定値によると、特殊詐欺の認知件数は11,093件、被害額は937.9億円にのぼりました。前年同期と比べて件数は2,576件、被害額は413.9億円も増えています。
犯人が最初に選ぶ連絡手段は、今も固定電話です。警察庁組織犯罪対策部がまとめた資料では、2022年11〜12月に認知した特殊詐欺事件のうち、被害者側の通信手段は97.2%が固定電話だったと分析されています。固定電話の番号は電話帳などから「名簿」として出回りやすく、契約者に高齢者が多いことも狙われる理由です。
固定電話が狙われる理由
①【名簿の入手】高齢者の多い固定電話番号を「名簿」として手に入れる
犯人グループは、電話帳や過去の被害者リストなどから固定電話番号を集めます。携帯電話に比べて契約者の年代が分かりやすいことも、固定電話が狙われる理由です。
②【接触】家族や公的機関を名乗って電話をかける
「風邪をひいて声が変わった」「携帯が壊れて番号が変わった」などと言って、本人だと信じ込ませようとします。
③【要求】お金や個人情報を求める
「お金が今すぐ必要」「口座が悪用されている」などと伝え、現金の準備やキャッシュカードの受け渡しを求めてきます。

知らない番号からの電話で焦ってしまうのは、誰にでも起こりうることです。だまされる方が悪いのではなく、あなたを信じ込ませる話し方を研究し尽くした、だます側がプロなのです。
実際のセリフ・文面
警察庁のSOS47特殊詐欺対策ページで紹介されている、犯人が実際に使う言い回しです。
- 「会社のお金が入ったカバンを落としてしまった!今日中にお金がいるんだけど、何とかならない?」
ここが見抜くポイント:金額や理由を問わず、電話越しに「今日中に」とお金を求められた時点でまず疑ってください。 - 「携帯が壊れて番号が変わった」
ここが見抜くポイント:新しい番号を伝えられても、その場では信じず、家族が元々使っていた番号にかけ直して本人確認をしてください。 - 「口座が悪用されている」「あなたに逮捕状が出ている」
ここが見抜くポイント:警察官が電話でこのように伝えることはありません。キャッシュカードを預かる、ATMを操作させるという話が出た時点で詐欺と判断してください。
(出典:警察庁・SOS47特殊詐欺対策ページ「オレオレ詐欺」)
固定電話の詐欺対策 チェックリスト
✅ ナンバー・ディスプレイと非通知拒否サービスを申し込む(今週中、70歳以上は無料)
NTT東日本・西日本は、70歳以上、または70歳以上の方と同居する契約者を対象に、ナンバー・ディスプレイとナンバー・リクエストの月額料金・工事費を無料にしています。契約中の電話会社に問い合わせてください。
✅ 防犯機能付き電話機に買い替える、または後付け機器を設置する(今月中、自己負担3,000円程度から)
着信音が鳴る前に「この通話は防犯のために録音されます」と自動音声で警告する電話機は、警察庁も導入を勧めています。多くの自治体が購入費の半額程度(上限1万円前後)を補助しているので、お住まいの自治体の窓口で確認してください。
✅ 留守番電話を設定し、知らない番号にはすぐ出ない(今日から)
本当に用件がある相手なら、メッセージを残します。折り返す前に、本物かどうかを確認する時間を作れます。
✅ 国際電話番号からの着信を無償で休止する(今週中)
NTT東日本・西日本には、国際電話の発着信を無料で休止できるサービスがあります。海外の家族から固定電話にかかってくる予定がなければ、休止しておくと安心です。
✅ 「お金の話が出たら、まず電話を切って確認する」を家族と約束する(今日、電話1本)
その場で判断させない仕組みが、最も確実な対策になります。
家族ができること
離れて暮らす家族は、今日中に次の3つを済ませておいてください。
- 📞 実家に電話し、契約している電話会社(NTT東日本・西日本など)を確認して、ナンバー・ディスプレイの無料化を一緒に申し込む(電話1本、15分)
- 🔧 防犯機能付き電話機や、住んでいる自治体の補助金制度を調べて、購入・設置を手伝う(週末に30分)
- 🤝 「お金の話が出たら必ず電話を切って私に相談して」と約束し、合言葉を決めておく(5分)
よくある質問
Q. ナンバーディスプレイをつければ詐欺の電話は防げますか?
A. 番号だけでは防ぎきれません。発信元の番号を偽装(スプーフィング)して、本物の警察署や会社の番号を表示させる手口もあります。詳しくは「本物の警察署の番号」が表示されても詐欺!電話番号偽装(スプーフィング)詐欺の手口と対策で解説しています。番号表示は、防犯電話機や留守電と組み合わせて使ってください。
Q. 固定電話の詐欺対策にはどれくらい費用がかかりますか?
A. ナンバー・ディスプレイなどNTTの無料サービスもあれば、防犯機能付き電話機は自治体の補助を使うと自己負担3,000〜8,000円程度で購入できることが多いです。お住まいの自治体の窓口やホームページで確認してください。
Q. 固定電話を解約すれば安全になりますか?
A. 固定電話を使った詐欺の電話は減らせますが、携帯電話やSMSを狙う詐欺は別に存在します。解約だけに頼らず、対策を組み合わせて使ってください。
もし被害に遭ったら
- 💬 消費者ホットライン「188」:お金を渡してしまった場合の相談ができます。
- 📞 警察相談専用電話「#9110」:電話を受けただけ、不安になっただけの段階でも相談できます。
- 🚨 すでに現金を渡した・送金してしまった場合は110番:警察に直接通報してください。

電話に出た瞬間、相手の声色ひとつで心が動くのが人情というものです。ですが、防犯機能付き電話機やナンバーディスプレイは、あなたが何も気を張っていなくても代わりに見張ってくれます。難しく考えず、まずは今日、契約している電話会社に一本電話をかけてみてください。それだけで、あなたと大切な家族を守る一歩になります。