「ちょっといいですか」と声をかけられた次の瞬間、財布が消えていたら?券売機やATMを操作する一瞬の隙をねらう”置き引き”が起きています。誰にでも起こりうる手口を解説します。
何が起きたか
2026年8月17日、東京都のJR東京駅で、男(79)が窃盗の疑いで逮捕されました。新幹線の券売機で切符を買っていた男性から、現金約6万8000円などが入った財布を盗んだ疑いです。
警視庁によると、男は「ちょっといいですか」などと声をかけて近づき、被害者が振り向いた隙に、券売機の台に置かれていた財布を持っていたトートバッグで手元を隠しながら盗んだとみられています。
被害者の男性は「犯行は5秒ぐらいだったと思う」と証言しています。声をかけられて振り向いてから財布がなくなるまで、それほど短い時間だったということです。
男は取り調べに対し「年金をもらっているが、生活が苦しくて盗んだ」と容疑を認めています。捜査員の間では10年以上前から券売機の周辺で同じような盗みを繰り返しているとみられ、「券売のヒロ」と呼ばれていたということです。
犯行の手口

今回の事件では、次のような流れで被害に遭ったとみられています。
①声かけ:券売機やATMを操作している人の後ろから近づき、「ちょっといいですか」などと声をかけます。
②注意そらし:声をかけられた人が振り向いた一瞬の隙をつきます。券売機の操作に気を取られていると、周囲への注意はどうしても薄れがちです。
③盗難:持っていたバッグなどで自分の手元を隠しながら、台の上に置かれた財布や荷物を持ち去ります。
券売機やATMは、操作そのものに集中してしまう場所です。財布を台の上に置いたまま画面を見てしまう人も多く、ねらわれやすい状況が生まれます。
こうした手口は東京駅に限った話ではありません。全国どこの駅やATMコーナーでも起こり得ます。
今日からできる対策
- 券売機やATMを使うときは、財布やスマートフォンを台の上に置かず、必ず手に持つかポケット・バッグにしまう
- 見知らぬ人に声をかけられても、すぐに振り向く前に荷物をつかんでから対応する
- 貴重品は上着の内ポケットなど、外から見えず取り出しにくい場所に入れておく
- 混雑した駅やATMコーナーでは、リュックや手荷物を体の前で抱えるようにする
- 財布に現金を入れすぎず、必要な分だけを持ち歩くようにする
もし被害に遭ったら
財布や荷物を盗まれたことに気づいたら、その場の駅員や係員に伝えたうえで、すぐに110番通報してください。
クレジットカードやキャッシュカードが入っていた場合は、カード会社や金融機関にすぐ連絡し、利用停止の手続きをしましょう。
「自分も狙われるかもしれない」と不安なときは、警察相談専用電話「#9110」に相談できます。

「ちょっといいですか」――その一言で、つい振り向いてしまうのは自然なことです。だからこそ、券売機やATMの前では、荷物を体から離さない習慣を持っておきましょう。