「認知症になったらお金はおろせなくなる。今のうちに預かっておく」――そう言われてお金を渡していませんか。三重県で85歳の男性が、そう持ちかけた49歳の男に2580万円をだまし取られました。認知症による口座凍結は実際にありますが、個人にお金を預けることは絶対にしてはいけません。
- 「認知症で口座凍結」を口実にした詐欺の手口と、三重県で起きた2580万円被害の経緯
- 認知症による口座凍結が実際に起こる仕組みと、個人にお金を預けてはいけない理由
- 口座凍結に備える正しい方法(成年後見制度・代理人カードなど)と相談先
何が起きたか
三重県志摩市で、85歳の男性が、顔見知りだった49歳の男に「認知症になると口座が凍結される」と言われて2580万円をだまし取られたとして、三重県警鳥羽署が男を詐欺の疑いで逮捕しました。
男は一般社団法人の役員という肩書きで男性に近づき、「認知症になると銀行口座が凍結される。お金を引き出してくれたら預かる」と伝えていました。その上で、遺言執行者の記載された書類に署名させ、「遺言執行経費」や「預かり金」の名目で現金を受け取っていたとみられています。2025年2月25日から8月27日までの約6か月間に47回にわたり、合わせて2580万円をだまし取ったとされます(伊勢新聞、2026年10月7日)。被害は、男性が役員の男と連絡が取れなくなり、弁護士に相談したことから発覚しました。
手口の解説
この詐欺は、「本当にある制度への不安」を利用して、少しずつ現金を引き出させる手口です。
- 接触・信頼構築:福祉や法律に関わりがあるような肩書きを名乗り、相談に乗る形で親しくなる
- 不安をあおる:「認知症になると口座が凍結される」という、実際にある仕組みを持ち出して不安にさせる
- 書類に署名させる:遺言執行者など、お金の管理を任せる内容の書類に署名させる
- 小分けに引き出させる:一度に大金を動かさず、何十回にも分けて少しずつ現金を渡させ、本人も家族も気づきにくくする
だまされる方が悪いのではなく、だます側がプロです。信頼できそうな肩書きを装って近づく手口には、誰でも引っかかる可能性があります。

実際のセリフ・文面
三重県の事例で実際に使われたとされる言葉です(出典:伊勢新聞)。言い回しを覚えておくと、同じ手口に気づきやすくなります。
「認知症になると銀行口座が凍結される。お金を引き出してくれたら預かる」
見抜くポイント:口座凍結は実際にある制度ですが、個人が「預かる」ことは絶対にありません。預け先は銀行や家庭裁判所が関わる公的な制度だけです。
(遺言執行者の記載された書類に、その場で署名を求める)
見抜くポイント:遺言や財産管理に関わる書類は、その場で急いで署名するものではありません。「今すぐ判子を」と言われたら、一度持ち帰って家族や専門家に見せてください。
今日からできる対策
- 「お金は私が預かる」と言う人がいたら、それだけで詐欺と判断してその場で断る
- 遺言や財産管理に関する書類は、その場で署名せず、必ず持ち帰って家族か弁護士に見せる
- 口座凍結が心配なら、今日にでも銀行の窓口か自治体に「成年後見制度」「代理人カード」について相談する
- 普段付き合いのある相手でも、まとまったお金の話が出たら、渡す前に必ず家族に話す
- 家族が何度も少しずつ現金を引き出していることに気づいたら、遠慮せず理由を聞く
家族ができること
- 親に「お金を預かるという人がいたら、それは詐欺」だと今日伝えておく
- 認知症に備えて、成年後見制度や家族信託を、今のうちに一緒に調べておく
- 親の交友関係に、最近お金の話をする人物が増えていないか気を配る
よくある質問
Q. 認知症になると本当に口座が凍結されるのですか?
A. 本人の判断力が低下したと銀行が確認すると、原則として自由に出金できなくなります。ただし医療費など本人の利益が明らかな支払いには、家族からの請求に応じる取り扱いもあります(全国銀行協会、2021年2月の指針)。
Q. 口座凍結に備えるには何をすればいいですか?
A. 成年後見制度や家族信託、銀行の代理人カードなど、公的な制度を使うのが基本です。個人にお金を預けることは備えにはならず、詐欺の危険があります。
もし被害に遭ったら
お金を渡してしまった、または家族が同じような話を持ちかけられていると気づいたら、一人で悩まずすぐに相談してください。
| 窓口 | 電話番号 | 相談できること |
|---|---|---|
| 警察相談専用電話 | #9110 | 詐欺かどうかの相談、被害届の出し方 |
| 消費者ホットライン | 188 | お金のトラブル全般、相談窓口の案内 |
| 法テラス(日本司法支援センター) | 0570-078374 | 弁護士への相談、財産管理の専門的な対処 |

「認知症になったら」という不安は、誰もが持つ自然な気持ちです。だからこそ、それを利用してお金を預かろうとする人がいます。お金の管理を頼むべき相手は、銀行や家庭裁判所が関わる公的な制度だけ。親しい人であっても、まとまったお金を渡す前には必ず家族に話してくださいね。
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