「もしかして詐欺だったかも」と気づいた瞬間、頭が真っ白になっていませんか。振り込んだ直後の数分の行動が、お金を取り戻せるかどうかを大きく左右します。今すぐやるべきことを整理しました。
いま何が起きているか
警察庁が2026年6月に公表した確定値によると、2025年の特殊詐欺の被害額は約1,423.1億円にのぼります。これにSNS型投資詐欺の1,288.0億円、SNS型ロマンス詐欺の831.9億円を合わせると、振込・送金が絡む被害は年間3,000億円を超える規模です。
これだけの被害が出ている一方で、振り込んだお金が実際に取り戻せるケースはごく一部です。「振り込め詐欺救済法」に基づく被害回復の制度はありますが、預金保険機構によると、犯人がすでにお金を引き出してしまった後では口座に残るお金がほとんどなく、分配金として戻る金額はわずかになってしまいます。つまり、振り込んでから連絡までの時間が、被害を最小限に抑えられるかどうかの分かれ目になります。
振り込んだ直後、時間との勝負になる理由
「気づいたらすぐ連絡する」ことが、なぜそれほど重要なのか。流れで見てみましょう。
①振込が完了する
指示どおりにATMや窓口、ネットバンキングで振込・送金をしてしまった時点です。この段階では、まだお金は振込先の口座に残っています。
②犯人がお金を引き出す
多くの場合、犯人は振込を確認するとすぐに、あるいは数十分から数時間以内に口座から現金を引き出したり、別の口座へ移したりします。ここで残高がなくなると、取り戻せるお金は大きく減ります。
③口座が凍結される・されない
被害者や警察からの連絡が早ければ、金融機関が口座を凍結(取引停止)し、残っている残高を保全できます。連絡が遅れるほど、③より先に②が終わってしまい、残るお金がなくなります。
この流れがある以上、「振り込んでしまった」と気づいた瞬間が、最も残高が残っている可能性の高いタイミングです。だまされる方が悪いのではなく、この時間との勝負の構造を知り尽くしているだます側がプロなのです。ためらわず、すぐに行動してください。

今すぐやるべきこと
✅ 警察に連絡する(今すぐ、1本の電話)
緊急性が高い場合は110番に電話してください。「いつ・いくら・どの口座に振り込んだか」「相手が名乗った名前や電話番号」を伝えます。
✅ 振込先の金融機関に電話し、口座凍結(取引停止)を依頼する(今すぐ、警察と同時に)
警察への連絡と並行して、振り込んだ先の金融機関のコールセンターに連絡します。「振り込め詐欺の被害に遭った」と伝えれば、担当窓口に案内してもらえます。
✅ 振込の記録を保存する(5分でできる)
ATMの明細、ネットバンキングの振込履歴の画面、通帳の記帳内容などを手元に残しておいてください。後の手続きに必要になります。
✅ 消費者ホットライン188にも相談する(今日中に)
被害回復分配金制度の説明や、その後の手続きについて教えてもらえます。警察・銀行への連絡が終わったら、こちらにも状況を伝えておきましょう。
✅ 一人で抱え込まず家族に伝える(1本の電話)
恥ずかしいと感じる必要はありません。話すことで気持ちが落ち着き、その後の手続きも進めやすくなります。
家族ができること
離れて暮らす家族は、今日中に次のことを済ませておいてください。
- 🏦 親が使っている銀行・ゆうちょ銀行のコールセンター番号を一緒に控えておく(電話一本・5分)。いざという時に検索する余裕はありません。
- 📞 「振り込んでしまったら、まず110番と銀行に電話して」と伝えておく(電話一本)。本人だけで判断させない仕組みが最大の防御になります。
- 👀 ネットバンキングやキャッシュカードの利用明細を、月1回一緒に確認する(見守り)。早期発見が被害の拡大を防ぎます。
よくある質問
Q. 口座凍結を依頼すれば、振り込んだお金は必ず戻ってきますか?
A. 必ず戻るわけではありません。「振り込め詐欺救済法」に基づく被害回復分配金制度はありますが、犯人が先に引き出していた場合、残っている金額に応じてしか受け取れません。複数の被害者がいる場合は口座残高を分け合う形になるため、全額が戻るとは限りません。それでも、連絡が早いほど取り戻せる可能性は高くなります。
Q. ゆうちょ銀行に振り込んでしまった場合はどこに連絡すればいいですか?
A. 振込先がゆうちょ銀行であれば、ゆうちょ銀行のコールセンターに連絡し、口座凍結を依頼してください。自分の口座がある金融機関から、ゆうちょ銀行に連絡してもらうこともできます。どちらに相談しても、「振り込め詐欺の被害に遭った」と伝えれば案内してもらえます。
Q. 分配金の申請から、実際にお金が戻ってくるまでどのくらいかかりますか?
A. 金融庁によると、口座名義人の権利を消滅させる手続きに60日以上、そこからの支払申請期間に30日以上かかるため、実際に支払を受けられるまで少なくとも半年以上かかるのが一般的です。すぐには戻らないことを理解した上で、まずは口座凍結を急いでください。
もし被害に遭ったら
- 🚨 110番:振り込んでしまった直後、緊急性が高い場合はまずこちらへ。
- 🏦 振込先の金融機関:口座凍結(取引停止)を依頼してください。
- 💬 消費者ホットライン「188」:被害回復分配金制度など、その後の手続きの相談ができます。
- 📞 警察相談専用電話「#9110」:緊急性がそれほど高くない相談はこちらへ。

振り込んでしまった後で、自分を責めないでください。今できることは、1秒でも早く警察と銀行に電話することだけです。その一本の電話が、あなたの明日を守ります。